高能率水田用除草機は、みのる産業株式会社と農研機構が共同で開発した3輪タイプの除草専用機です。本機は、除草装置を車体中央部に配置しており、高速で欠株の少ない除草作業が可能です。本機の特徴や導入条件については基本技術編を参照してください。
基本技術編>5B.雑草の抑制技術(機械除草技術)>(2)高能率水田用除草機を参照
①除草部の両側のスタンドを取り外します。
②除草部の高さを「高い」に設定します。
③ローターの深さを「浅い」に設定します。
④ツースの速さは「低速」または「中立」に設定します。
⑤下泥除けをローリング抑制板の上に載せます。
①前進で圃場に入り、除草部を下ろします。
②各部を次の手順で調整します。
1.除草部(フロート)の高さの調節
除草部の高さ調節レバー(図12-2)を操作してフロートの高さを調節します。高さはツースの山が田面に合うように調整します(図12-3)。機体が後傾するようなら、除草部の高さを高くして、ツースと田面の高さを合わせます。
2.フロートの油圧感度の調節
田面の状態に合わせてフロートの油圧感度を除草部前方の感知バネで調節します(図12-4)。通常は一番下にセットし、田面が硬い場合は田面をフロートが捉えるよう感知バネを上に、田面が柔らかい場合はフロートが泥を押して泥が苗を埋めないよう感知バネを下にします(図12-5)。
3.ローターの深さの調節
ローターの深さ調節レバーでローターの深さを調節します(図12-6)。目安は4~5cmになるようにセットします(図12-7)。ローターの深さを深くしすぎると安全クラッチが作動することがあります。条間に残草がある場合はローターの爪が土中に入るように調節します。
4.ツースの速度の調節
残草や苗の活着状態に合わせてツース変速レバーでツースの速度を調節します(図12-8)。株間に残る草が多いようなら高速に、苗の活着が悪く欠株が発生する場合は低速にします。
5.株間への水流の調節
株間に集まる水流は、下泥除けをローリング抑制板の上に載せると減少し、ローリング抑制板の上に載せないと株間に水流が集まります(図12-9、図12-10)。欠株の有無、苗の活着具合で使い分けます。
作業開始直後は、低速で前進した後一度停止して水稲の状況や雑草が浮き上がっているかを確認します。苗が少しなびく程度の状態であれば問題ありませんが、苗が立っている状態で雑草が浮かんでこなければ、ローターやツースが田面にあたっていない可能性があります。また、引っかかり音(安全クラッチが作動している)がしたり、ローリング抑制板が土を押している場合は、ローターが深く入りすぎています。除草部の高さやローターの深さを適切な位置に再調節してください。
1.欠株の状況確認
圃場に降りて欠株を確認します。下の写真のように稲が倒れていても水面に見えていれば問題ないですが、埋まっていると欠株になります。
2.残草の状況確認
低速で数メートル作業を行ったあと、残った草の状況を確認します。アクリルケースを沈めると濁っていても雑草を確認できます。
1回目の除草は苗が小さいので、浅めに除草を行います。特にツースによる苗傷み、水流による苗の埋め込みがないか確認しながら作業を行います。除草機は最速1.2m/sで作業を行うことが可能ですが、欠株や苗の損傷を起こさないために、特に1回目の除草では0.3~0.5m/s(歩くくらいの速度)で作業してください。一筆の中でも田面の高低や耕盤の起伏があるので、作業中も苗の状況などを確認しながら、こまめな調整を行ってください。前記の速度でも、10アール当たり約30分(6条タイプの場合)で作業することができます。
欠株がある場合は、①ツースの山の高さを田面に合わせる、②ツース速度を落とす、③フロートの泥押しをバネで調節する、④水流を弱める、などで調整を行います。条間に残草がある場合は、ローターの深さを深くして土中に爪が入る高さにします。株間に残草がある場合は、①ツースの山の高さを田面に合わせる、②水流を強める、などの調整を行います。
3.枕地での旋回
旋回時に切り返しを行うと欠株の増加につながります。旋回後に前輪が入る場所に目印を付けることで旋回がスムースに行えます。例えば、先端に色をつけた割り箸を立てておけば、除草機に乗ったままで前輪が入る場所がわかります(図12-14)。
4.作業が終わったら
作業終了後は、除草部を固定フックにかけ、後進でゆっくりと圃場から出てください。乗車したまま前進すると転倒事故につながる可能性があります。除草作業後は、速やかに深水管理に戻して下さい。
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