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kihon:4

4.施肥、代かき、移植 

(1)施肥 

 1)有機栽培で利用可能な肥料

  1. 有機質肥料として流通しているものの中には、登録認定機関によっては使用不可となるものもあります。有機JAS規格別表に使用が可能な肥料や資材が示されていますので参照して下さい。また身近に入手でき、発酵させるなどして使用できる有機物の例を表4-1に示します。種類によっては肥効の速さが異なるので注意が必要です。
  2. 牛糞堆肥や発酵鶏糞等に関しても有機JAS認定の取得を目指す場合、市販有機質肥料と同様に有機栽培への使用の可否を認定機関に判定してもらう必要があります。

 2)有機質肥料の使い方

  1. 有機質肥料は微生物に分解された後に水稲に吸収されるため、緩効的に肥効が現れます。また、化学肥料の7~8割の窒素肥効率となることが一般的です。
  2. 秋に有機質肥料を施用する場合は、稲刈り後、稲わらの分解促進のため米ぬかやボカシ肥料を10a当たり100 kg程度散布し、浅く(5~10 cm)耕耘します。これを元肥部分とします。移植後生育が悪い場合は速効性のある有機質肥料を品種に応じて追肥します。施用時期は機械除草終了直後とします。
  3. 入水前や移植時に有機質肥料を元肥として施用する場合は、菜種油粕や有機アグレット666特号など比較的速く肥効が現れるものを慣行栽培での標準施肥量または標準施肥量より1割程度多めに施用します。これら有機質肥料の肥効は、使用する製品や気象条件等で異なるので、追肥で生育を調整するようにします。
  4. 移植時や機械除草時に米ぬかや菜種油粕などの有機物を散布する場合は水稲の生育と散布した有機物の肥効(水稲の葉色の変化などを観察)を確認後追肥します。
  5. 葉色が淡くなり、穂肥が必要と考えられる場合は、市販の有機質肥料やボカシ肥料を出穂30日前頃に品種と葉色に応じ適量を散布します。

(2)代かきと移植

 1)代かき

  1. 代かきは水田の水持ちを良くし、日減水深を水稲の生育に適した20~30 mmとするためばかりでなく、有機栽培では中心技術といっても良い水管理を自在とするための重要な作業です。
  2. 代かきは入水後、代かきハローなどで浅く行います。
  3. 通常は荒代かきと仕上げ代かきの2回行いますが、仕上げ代かきまでの間に雑草が大きくなった場合は3回以上することもあります。複数回の代かきにより発生した雑草を埋め込んだり浮かせたりし、移植後に発生する雑草量を減らすことができます。
  4. 荒代かきは移植前20~30日頃に行い、仕上げ代かきまで湛水状態を保つようにします。
  5. 仕上げ代かきではトラクターのタイヤ跡が残らない程度に水を少なくし、雑草を埋め込みます。図4-2のように雑草が大きくなった場合は、移植まで入水しないようにします。

 2)移植

  1. 移植の時期は水稲の生育や病害虫の発生、地力窒素の発現などの面から品種毎に栽培される地域での適期であることが必要です。大まかな目安は慣行栽培の2週間程度遅い時期になります。       :!:1.開始前のチェックポイント>(2)の2)参照:
  2. 抑草効果を高めるために、仕上げ代かきから移植までの日数はできるかぎり短く (1~2日を推奨) することが重要です。
  3. 移植する苗は中苗以上のものを使用します。成苗は、移植後の活着が良く初期の生育量の増加が早いので、雑草との競合に有利です(図4-3)。
  4. 栽植密度は株間18 cm程度を標準としますが、生育量が確保しにくい水田ではやや密度を高くします。また、前作に大豆や野菜を栽培した水田では疎植(21~24 cm程度)とします。
  5. 育苗箱に条播した場合は、田植機の掻き取り回数(横送りの回数)を苗の条数に合わせます。散播した場合は、欠株を減らすために掻き取り回数を少なく(掻き取り量を多めに)設定します。
  6. 1株の植え付け本数は3~5本程度となるよう田植機の掻き取り量を調整します。
  7. 高精度水田用除草機や高能率水田用除草機で除草する場合は、植付条間(今植えた4~8条とこれから植える4~8条との間)が30 ± 5 cm になるよう注意して移植します。

kihon/4.txt · 最終更新: 2020/02/12 (Wed) 15:50 by juten