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イネ縞葉枯病に関する情報
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====== イネ縞葉枯病ウイルスの簡易保毒虫検定法 ====== 簡易エライザ(ELISA)によるイネ縞葉枯ウイルス(RSV)保毒虫検定マニュアル\\ (作成者:柴卓也) ===== 本手法について ===== 本手法は、発生予察事業の調査実施基準(平成13年 農林水産省消費・安全局)に定められているイネ縞葉枯病の発生量を予測するための保毒虫率調査において、従来のELISA法やラテックス凝集反応法の代替となる技術です。簡易ELISA法と簡便な虫体処理を組み合わせることで、通常のELISA法と比べて作業性を大幅に向上させています。本手法を使用することで、一人あたり500検体/1日の検定が容易に行えるようになります。また、本手法の手順に従って保毒虫検定を行う場合の1検体あたりの費用は約20円(検定試薬、バッファー、マイクロプレート等)で、ラテックス凝集法の約65円(試薬、マイクロプレート)と比べて安価です。 ===== ELISA法について ===== ELISA法は、対象ウイルス粒子または粒子を構成するタンパク質に対する抗体を用いてウイルスを検出する手法です。簡便性、経済性、結果の明瞭性、検出感度に優れるなどの特徴があり、ウイルスの検出法として様々な分野で幅広く利用されています。ここでは、イネ縞葉枯ウイルス(RSV)の保毒虫検定用に特別に設計した迅速・簡便なELISA法を紹介します。 ===== 準備 ===== 検定を実施する前に以下の試薬や消耗品をご用意下さい。 ==== 1. 検定試薬 ==== 日本植物防疫協会から市販されているイネ縞葉枯ウイルス検定試薬(ポリクローナル抗体利用DAS-ELISA用セット)を使用します。 <WRAP round tip 60%>//**__抗体の入手先__**// \\ [[https://www1.enekoshop.jp/shop/jppashop/|日本植物防疫協会]] 支援事業部 \\ FAX 03-5980-6753 \\ TEL 03-5980-2183</WRAP> ==== 2. 緩衝液、試薬 ==== (1)炭酸バッファー(0.05M, pH9.6) (2)PBS-T(リン酸緩衝生理食塩水+0.5%Tween20) (0.02M, pH7.4) (3)10%ジエタノールアミン溶液(pH9.8) (4)基質溶液 各試薬の調整法については、[[https://ml-wiki.sys.affrc.go.jp/okuda_wiki/manuals/elisa|ウイルス病検定マニュアル:DAS-ELISA]]を参照してください。 ===== 3. 器具 ===== (1)96ウェルマイクロプレート <WRAP indent>ELISA用のマイクロプレートを使用して下さい。中結合能タイプと高結合能タイプがありますが、RSV検定試薬は高結合能タイプを使用した方が明瞭な発色が得られますので、高結合能タイプを使用して下さい。以下に、問題無く使用できることを確認済みのプレートをリストアップします。その他のメーカーのものについても高結合能タイプであれば問題ないと思いますが、それらを使用する際は事前に、推奨品との比較により問題がないことを確認して下さい。</WRAP> <WRAP round tip 60%>//**__推奨マイクロプレート__**// \\ [[http://www.greiner-bio-one.co.jp/products/153.html|Greiner社 No.655061]] <wrap em>(推奨)</wrap> \\ [[http://www.greiner-bio-one.co.jp/products/153.html|Greiner社 No.762071(脱着可能な8連ウェルとフレームを組み合わせたものです)]] \\ [[http://www.sumibe.co.jp/product/s-bio/protein/elisaplate/spec/index.html|住友ベークライト社 MS-8596F]] <wrap em>(推奨)</wrap> \\ [[http://www.sumibe.co.jp/product/s-bio/protein/elisaplate/spec/index.html|住友ベークライト社 MS-7296F(塩化ビニール製のプレートなので、必要な分だけハサミで切って使用できます)]]</WRAP> (2)マイクロピペット 20〜200µl用、マルチチャンネルのものが便利です。 (3)マイクロチップ 20〜200µl用 (4)マイクロプレートリーダー 吸光値測定用に使用しますが、無くても問題ありません。 (5)冷蔵庫 4℃、コーティング済みプレートや試薬の保管用です。 (6)恒温器 37℃、抗体吸着、インキュベーションで使用します。 ===== 実際の手順 ===== - コーティング液(一次抗体液)を炭酸バッファーで所定濃度に希釈し、マイクロプレートの各穴に100µlずつ分注する。 - プレートをラップフィルム等で包んで37℃で2時間または4℃で一晩静置する。コーティングしたプレートは4℃で長期保存可能(コーティング液を入れたままの状態で1年程度は保存可能)。 - マイクロプレートを逆さにしてウェル内のコーティング液をさっと捨て、マイクロプレートの各ウェルをPBS-Tで3回洗浄する(PBS-Tを適量入れて捨てる、という操作を繰り返す)。洗浄後はプレートをペーパータオルに5回程度たたきつけてウェル内に残った液体を除去する。 - マイクロプレートの各ウェルにPBS-Tで所定の濃度に希釈したコンジュゲート液(二次抗体液)を50µlずつ入れる。 - 各ウェルに虫検体を入れる。虫検体の胸部をピンセットで圧搾してから、ウェル内に投入する。陽性コントロールとして、RSV感染イネまたはRSVを保毒したヒメトビウンカの磨砕液(注)を、陰性コントロールとして無保毒(健全)ヒメトビウンカ成虫を各1ウェル加える。 - プレートをラップフィルム等で包んで37℃で2時間静置する(4℃で一晩静置でも可) - マイクロプレート内のコンジュゲート液と虫検体を捨て、マイクロプレートの各ウェルをPBS-Tで5回洗浄する。 - 基質溶液を各ウェルに100µlずつ注入し、15−30分後に結果を判定する。 <WRAP round tip 85%>//**__陽性コントロールの配布__**// 農研機構植物防疫研究部門では、簡易保毒虫検定法に使用できる「イネ縞葉枯ウイルス検定用陽性コントロール」を配布しています(公的機関には無償、その他は有償の場合があります)。希望者は、rsv_web@ml.affrc.go.jpまでご連絡ください。<wrap em>農研機構の研究試料取扱規則に則り配布を行うため、手続きに時間がかかります。余裕を持ってお申し込みください。</wrap> </WRAP> ===== 補足 ===== (1)コンジュゲート液(二次抗体液)と虫検体を同時にウェルに入れることで、結果の判定までの時間を通常のELISA法と比べて2時間以上短縮できます。通常のELISA法と比べて検出感度は若干低くなりますが、保毒虫検定法として使用する分には全く支障ありません (2)写真1のように虫検体の胸部をピンセットで圧搾するだけで検定可能です(ピンセットは1検体ごとにティッシュペーパー等で拭き取って下さい)。虫検体の雌雄や生育ステージにかかわらず検定できます。虫検体を磨砕した場合と比べて発色が若干劣る場合がありますが、写真2のように肉眼での判定に支障はなく保毒虫率の推定には影響しません。 {{:rsv:pict1.jpg?nolink&300|写真1 胸部圧搾による虫検体の簡易処理}} 写真1 {{:rsv:pict2.jpg?nolink&300|写真2 4齢幼虫を供試して磨砕法と圧搾法を実施したときの基質溶液添加15分後の発色(左半分:圧搾法による虫検体処理、右半分:磨砕法による虫検体処理)}} 写真2 (3)ELISA法では温度差の生じやすいプレート外周部のウェルは使用しないほうが良いケースがありますが、ここで紹介したRSV保毒虫検定では外周部のウェルも問題無く使用できます。 (4)プレートの洗浄には写真3のような洗瓶を使用すると作業が楽です。洗浄時に虫や溶液が他のウェルに入ってしまいますが、短時間なので問題ありません。しっかりと洗浄して下さい。 {{:rsv:pict3.jpg?nolink&300|写真3 洗瓶によるプレートの洗浄}} 写真3 (5)虫検体が陽性の場合は写真2のように明瞭な黄色の発色が得られます。洗浄をしっかり行っていれば陰性のウェルが発色することはありません(非特異反応は起こりません)ので、肉眼で発色が認められたものを陽性と判定します。マイクロプレートリーダーで吸光値を測定する場合は405nmの干渉フィルターを使用して下さい。リファレンス波長(バックグラウンドを測定するための波長)の測定に490nm程度の干渉フィルター用い、得られた吸光値をサンプル測定で得た吸光値から引くことで、ウェル内の気泡の影響を取り除くことができます。通常、陰性コントロールの2から3倍以上の吸光値を示すものを陽性と判定します。 ===== 注意点 ===== - ここで紹介した簡易ELISA法は保毒虫検定のほか、イネからのRSV検出にも使用できます。 - RSV以外のウイルスの検出については、本手法の適合性は検証していません。それぞれのマニュアルに従って下さい。 - 操作が失敗していないことを確認するために、陽性と陰性のコントロールを用意して下さい。陽性のコントロールには、RSV感染イネの発病部位を用い、試料の重量に対して10倍量のPBS-Tとともに磨砕した液の上澄みを使用します。多めに作って少量ずつマイクロチューブに小分けして冷凍しておくと便利です(一度解凍したものは再冷凍できません)。陰性のコントロールには、RSVを保毒していないヒメトビウンカを用いるか、RSV非感染イネを陽性のコントロールと同様に調整して使用します。 ===== 参考文献 ===== * [[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphytopath1918/53/2/53_2_254/_article|Takahashi et al (1987) Ann.Phytopath. Soc. Japan 53: 254-257.]] * [[https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0CCsQFjAA&url=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Fjjaez%2F57%2F2%2F57_113%2F_pdf&ei=TTE5U7fKLsTgkAXS14DwCA&usg=AFQjCNFBpA5Jy-mxdFqNn-xuQ_IwebYOpw&sig2=c6T3L9h4FASY9r5QHvt-qQ&bvm=bv.63808443,d.dGI&cad=rja|一木ら(2013)応動昆57: 113-116.]] * [[https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ktpps/2012/59/_contents/-char/ja/|柴ら(2013)関東東山病虫研報60: 91-93.]]
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· 最終更新: 2021/06/02 (Wed) 13:09 by
hirae
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