媒介虫の見分け方 我が国の水田では、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、トビイロウンカの3種のウンカ類が主に発生する。このうち、ヒメトビウンカのみがイネ縞葉枯病を媒介する。ウンカ類は成虫の体の大きさが4〜5mmの小さな昆虫なため、種の識別にはルーペ等が必要である。
成虫の体長は3~4mmで、セジロウンカやトビイロウンカと比べて小型である。雄の背中は黒色、雌の背中には薄茶色の帯があり、頭頂部はセジロウンカと比べてやや平坦である。体色は淡褐色や黄褐色であるが、越冬世代では黒くなる。幼虫は水面に落下すると後脚を斜め後ろに広げる特長があるため、後脚を真横に広げるセジロウンカやトビイロウンカとの区別ができる。
ヒメトビウンカよりやや大きく、成虫の体長は4~4.5mmである。背中に明瞭な白い帯があり、ヒメトビウンカと比べると頭頂部が突出しておりシャープな印象になる。梅雨期にジェット気流にのって海外から飛来し、7~8月に発生量がピークとなることから「夏ウンカ」と呼ばれる。直接的な吸汁害のほか、イネ南方黒すじ萎縮病を媒介する。
成虫の体長は4.5~5mmである。ヒメトビウンカやセジロウンカより大きいことと体全体が茶褐色であることから、ヒメトビウンカやセジロウンカとの区別ができる。セジロウンカ同様に海外から飛来し、世代を経過する毎に密度が高まり秋に大きな被害を発生させることから、「秋ウンカ」と呼ばれる。トビイロウンカの吸汁による被害は大きく、多発時には坪枯れと呼ばれる大きな被害を発生させる。関東以北ではほとんど発生しない。