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IV.防除について

1.箱剤と本田防除ではどちらが有効か?

播種時または移植時の苗箱への薬剤処理は、移植直後から薬剤の効果があらわれるため、高い防除効果が得られる。被害の発生しやすい時期をねらって行う本田防除も高い効果が得られるが、天候不順等により適期の薬剤散布に失敗するリスクがある。イネ縞葉枯病の多発地域では、苗箱への薬剤処理をしっかり実施したうえで、媒介虫の発生状況に応じて本田防除を追加するとよい。

2.本田防除が必要なのなどのような場合か?

イネ縞葉枯病を抑制するためのヒメトビウンカの防除適期は、成虫が水田に飛来する時期、および、次の世代の幼虫が水田内で発生する時期である。ヒメトビウンカ成虫が水田に飛来する時期をねらって本田防除を実施するのは困難なので、水田に飛来する成虫は箱薬剤で防除する。残効性の長い箱薬剤を使用した場合はその後に水田内で発生する幼虫にも効果が期待できるが、そうでない場合は必要に応じて本田防除を追加する1)。この場合の本田防除は、水田内で幼虫が孵化するタイミングで実施する。

3.抵抗性品種ではヒメトビウンカの防除は不要か?

抵抗性品種はウイルスを保毒したヒメトビウンカに加害されてもイネ縞葉枯病を発病することはほとんどなく、ヒメトビウンカの防除は必要ない。しかし、抵抗性品種にはヒメトビウンカの個体数を抑制する効果はないため、薬剤防除を実施しない水田はヒメトビウンカが増殖しやすい。周辺でコシヒカリ等の感受性品種を栽培している場合は、感受性品種での被害拡大を防ぐため、抵抗性品種でも薬剤防除が必要になる場合がある

4.ひこばえの耕起は効果があるか?また、いつ頃までに行えば良いか?

イネ縞葉枯病の多発地域では、ひこばえでもイネ縞葉枯病が多発するため、その場で生息するヒメトビウンカ個体群の保毒虫率が高くなる傾向がある。保毒虫率の高い個体群を越冬させないように、イネ収穫後は水田を耕起して、ひこばえや水田内に繁茂する雑草を取り除くことが重要である。耕起は秋から冬にかけて実施し、未耕起のまま翌春まで放置しないようにする2)

5.畦畔の雑草防除は効果があるか?

ひこばえからウイルスを獲得したヒメトビウンカは、秋から冬の間はその場にとどまるため、水田の耕起を行えば大部分は死滅する。しかし、一部の個体は水田畦畔等のイネ科雑草に移動するため、水田からの距離が近い場所ほどヒメトビウンカの保毒虫率が高くなる傾向がある3)水田畦畔等の除草は保毒虫率の高い個体群の餌や生息場所を取り除く効果がある

6.冬場の畦畔の野焼きは効果があるか?

畦畔に生息するヒメトビウンカを防除することにつながるので、高い効果が得られると思われる。しかし、畦畔の野焼きは自治体の許可が必要または条例によって禁止されている場合があるため注意が必要である。

7.保毒虫率が何%なら防除する必要があるか?

イネ縞葉枯病の発生には、媒介虫の保毒虫率の他にも、媒介虫の個体数、栽培するイネ品種、移植時期、周辺環境等の様々な要因が関与するため、全国に一律の要防除水準を定めることは出来ない要防除水準は地域によって定められている場合があるが、2〜10%を目安とする自治体が多い。

8.箱薬剤の効果が切れた後はどうしたらよいか?

防除が必要なのは移植から幼穂形成期(出穂20-25日前ころ)までである。幼穂形成期まで効果の続く箱薬剤を使用していると理想的だが、そうでない場合は追加の本田防除を検討する。防除適期は、媒介虫であるヒメトビウンカの成虫が水田に侵入して産卵を始める時期から1週間(水田内で幼虫が孵化するタイミング)である。一方、幼穂形成期に入った水田では防除の必要がないため、水田の様子をよく観察して防除要否を判断する。

1)
Shiba et al (2018) Field Crops Research 217:211-217
2) , 3)
Shiba et al (2016) Journal of Economic Entomology 109: 1041-1046.
manual/qa/qa4.txt · 最終更新: 2021/07/29 (Thu) 14:00 by takuyas