イネ縞葉枯病に感染したときの被害の大きさは、品種、感染時期、発病程度などにより大きく異なる。減収の主な要因は、健全な穂の減少にともなう籾数の減少であり、おおむね発病した穂の分だけ減収する。例えば、水田内の40%の株が発病し、それら発病株における発病穂の割合が平均20%であった場合は、圃場全体の減収量は40%×20%=8%と推定できる。
イネ縞葉枯病による被害は減収のみであり、千粒重や食味については発病株と健全株とで違いは認められていない。
影響はない。米の外見や食味も変わらない。
イネ縞葉枯病の原因となるウイルスは種子を介して後代に伝搬することはないため、感染イネの種子を翌年の種もみに使用しても問題ない。
ひこばえの発病が多い水田では、その場に生息するヒメトビウンカ個体群の保毒虫率が高くなる傾向がある1)。保毒虫率の高いヒメトビウンカ個体群が越冬してしまうと翌年の被害が大きくなるので、そうした個体群を越冬させないように、ひこばえの耕起をしっかり行うことが重要である。
本田期に発病していたイネ、および、ウイルスに感染したが発病しなかったイネ(無病徴感染のイネ)の両方がひこばえで発病する。ひこばえで発病したイネの中には、本田期には発病していなかったイネも多く含まれまるため、ひこばえの発病株率は、本田期の発病株率よりも極端に高くなる傾向がある2)。したがって、ひこばえの発病株率から、当年の発病株率や翌年の本田期の被害(発病株率)を推定することはできない。
ウイルスの感染時期が早いほど被害が大きい3)。分げつ期前半に感染したイネは、感染した分げつが枯死して穂数が減少する。分げつ期後半に感染したイネは、穂が奇形となり収穫できる籾数が減少する。一方、幼穂形成期以降はイネのウイルスに対する感受性が低下するため、ウイルスに感染しないか、感染しても症状がでないことが多い。無病徴感染イネの収量は健全イネの収量と同等である。台湾における試験では、分げつ期の接種で84%、幼穂形成期の接種で23%の減収であったが、出穂期の接種では減収なしとの報告がある4)。別の韓国の試験では、移植直後の接種で51%、分げつ期初期の接種で46%、最高分げつ期の接種で13%の減収したとの報告がある5)。
感受性品種でも被害の程度に違いがある6)が、感受性品種におけるイネ縞葉枯病による被害の程度は、品種間差よりも、イネ苗の移植時期や周辺環境7)の影響を大きく受ける。現在、日本で普及している縞葉枯病抵抗性のほとんどの食用品種は「Modan」というインディカ型品種由来のstv-bi遺伝子を保有しており、抵抗性に違いはなく、ほとんど被害は生じない。ただし、飼料用品種では抵抗性の由来が明確でない品種があり、被害が生じる場合がある。