茨城県におけるイネ縞葉枯病発生の背景
茨城県では、消費者の高品質ブランド米指向と農家収益性の高さなどから、感受性品種「コシヒカリ」の作付けが主体であるため、薬剤を中心とした縞葉枯病対策の構築が必要である。
産地の特徴に応じた総合防除の説明
茨城県では、薬剤防除を中心とした対策を行っている。ヒメトビウンカに登録のある殺虫剤の育苗箱施用あるいは本田散布により病原ウイルスを媒介するヒメトビウンカを防除し、ウイルスに感染する機会を減らす。本田散布は、ヒメトビウンカ第2世代幼虫発生開始期から幼虫発生盛期の始期に行うと防除効果が高い。
現地実証試験の結果:薬剤の本田散布実施時期の検討
平成28年の茨城県内の本病発生圃場における無防除区のヒメトビウンカ第1世代成虫(以下成虫とする)は5月25日頃に発生し始め、発生盛期は6月4日から6月18日頃であった。また、第2世代幼虫(以下幼虫とする)は6月14日頃に発生し始め、発生盛期は6月20日から7月4日頃であった。(図1)
幼虫発生盛期の始期である6月20日の本田散布(シラフルオフェン乳剤、2000倍)では、幼虫密度が速やかに低下し、イネ縞葉枯病の防除効果が高かった。また、成虫発生盛期の中期および幼虫発生開始期である6月14日の本田散布では、幼虫密度が概ね低く推移し、本病の防除効果が高かった。なお、6月14日は幼虫密度が低い時期の散布ではあったが、成虫に対する防除によりその後発生する幼虫数も低く抑えることができたため、本病の防除効果が高かったと推察された。(図2、図3)
成虫発生盛期の始期である6月6日の本田散布は、幼虫密度の低減効果が低く、6月20日の散布と比較して本病の防除効果が劣った。また、幼虫発生盛期の中期である6月27日の本田散布は、幼虫密度の低減効果が認められるものの、幼虫密度が高くなった後の散布であったことから、6月20日の散布と比較して本病の防除効果が劣った。(図2、図3)

以上のことから、イネ縞葉枯病を効果的に防除するための本田散布の実施時期は、水田内における幼虫の発生開始期から発生盛期の始期であると考えられた。