近年、日本各地でイネ縞葉枯病の発生が増加している。イネ縞葉枯病は主にヒメトビウンカよって媒介されるイネ縞葉枯ウイルスが原因となるイネの重要病害であり、発病したイネは新葉が垂れ下がって枯死したり、穂が正常に出なくなるなどの症状により収量が減少する。イネ縞葉枯病を防除するためには、
などを組み合わせて行うことが重要である。しかし、実際には、地域によって有効な防除対策の選択肢が限られている場合もあるため、日本全国での画一的な取り組みは難しく、発生地域の特徴に応じて有効な防除計画を立案し実行することが重要となる。本マニュアルでは、イネ縞葉枯病の総合的管理技術の核となる技術オプションについて解説するとともに、これらの技術を地域の特徴に応じてアレンジするための最新の研究成果を紹介する。また、イネ縞葉枯病による被害発生のメカニズム、イネ縞葉枯病とその媒介虫であるヒメトビウンカの特徴と見分け方、イネ縞葉枯病の発生予察に利用できる調査方法や保毒虫検定法、イネ縞葉枯病に関するFAQなど、イネ縞葉枯病に関する情報を幅広く解説する。