最近のAIの中心技術は「機械学習」です.機械学習を理解するためには少しばかり数学の素養が必要です. 具体的な内容は次の2つで,いずれも大学初年度程度(理系)のレベルです.
これら2つは理系の大学生であれば(たぶん)必ず履修する科目ですので,勉強されたことが あると思います.そのようなメジャーな内容ですので,良い教材も公開されています.
そこで,「数学基礎」では下記に紹介する教材に目を通して頂き,「知らない」「ちょっと自信がない」 「忘れた」という項目について復習して頂ければと思います.
人工知能に何か(賢い)判断をさせることを考えてみましょう.例えば,「ある人が10年後にある病気にかかるリスクの大きさ」を推定(判断)するといったことです.人工知能でも人間でもこのような推定を行うためには「手がかりとなるデータ」が必要です. たとえば,その人の体重,血液検査の値,年齢など,通常は複数のデータを手がかりとして使います.
線形代数は,複数のデータを「ひとまとまりとして関係づけて扱う」ための道具として大変便利なものです(線形代数の正確な定義は教科書等をご覧ください).
線形代数入門として,下記をお勧めします.
高校レベルの数学知識を前提として,段階的に固有値まで行きます.
受講者のみなさんは目次をざっとご覧になって,知っていると思われたらどんどんスキップしてください.行列式に関する3項目はざっと御覧になる程度で構いません. なお,このコースウエアには各項目の最後に問題がありますので,理解度の目安にして下さい.
固有値の応用問題として「固有値分解」,さらにその展開として「特異値分解」というのがあります. 特異値分解は機械学習と切っても切れない「次元圧縮」につながります.そこで,番外編として「特異値分解」 について2つの動画像コンテンツをリンクしました.1つ目のPart1は固有値分解で,上記の 浦部先生のコースの最後が固有値ですので,その後にご覧になるとスムースにつながります.2つ目のPart2は「本丸」の特異値分解 でPart1の応用になっています.
特異値分解では画像データの圧縮の例が紹介されています.ちなみに,画像は全体をマス目(ピクセル)に分けて それぞれのマスが何色かというデータで表現できますので,線形代数で対象とする「ひとまとまりのデータ」 です.
テンソルとは「有理数」や「ベクトル」のような「数学的なオブジェクト(もの)」ですが、 そのきちんとした概念の説明は(wikipediaをご覧になると分かりますが)入門編の範囲を超えています。
一方、深層学習ではテンソルを道具として利用します。次の資料はテンソルをこの分野での道具とし利用する上で最低限の説明を記したものです。
なお,材料力学や電磁気学などを勉強した方はテンソルを使ったことがあると思います.
微分,積分も理系コースであれば高校で初歩を学び,大学では初年度で基本を履修すると思います. とはいえ,微分は人工知能とどういう関係があるのでしょうか?
人工知能に期待されるのは,なにかしらの基準に照らして「最も良い(たとえば収量が多い)」判断(たとえば投与する 薬剤量の決定)を行うことですが,その最も良い答え(収量の最大値とそれをもたらす投薬量)を見つける上で不可欠な 道具が微分です.要するに最大値や最小値を求めるための道具として微分を使います(相当単純化しています).
また,大量の学習データ(問題と答えの組)から処理系(人工知能内部)のパラメータの値を 決める機械学習においても,多くの場合,最小値(最大値)を求める問題に帰着させ(例:学習データ中の問題に最も多く正解するようなパラメータ値を選ぶ),微分を使って 解きます(この説明も相当単純化しています).
積分は微分に比べると出番が少ない感じがしますが,連続的に変化する量(数えられないもの)の総量(総和)を求める 場面を中心によく使われます..
微積分についても同志社大学コースウエアの浦部先生のものがとても分かりやすいのでリンクさせていただきます.
線形代数と同様,知っている項目はどんどんスキップして結構です.演習問題も付いています.