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kihon:6 [2020/02/14 (Fri) 16:32]
juten [(2)主要害虫の抑制技術]
kihon:6 [2020/02/14 (Fri) 17:13] (現在)
juten [(2)主要害虫の抑制技術]
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 === 4)イネツトムシ(イチモンジセセリ) === === 4)イネツトムシ(イチモンジセセリ) ===
  ①イネツトムシの発生状況\\  ①イネツトムシの発生状況\\
- イネツトムシの幼虫は、数枚のイネの葉をつづり合わせたツトを作り、その葉を食害します(図6-10)。関東~西日本では、主に7月下旬~8月中旬に発生する第2世代幼虫の食害が問題になります。この時期に幼虫が1株当たり0.5~3頭いると5%減収するとされています1)。被害は、移植時期が遅い場合、飼料イネなど窒素施肥が多い場合で増加するとされています。+ イネツトムシの幼虫は、数枚のイネの葉をつづり合わせたツトを作り、その葉を食害します(図6-10)。関東~西日本では、主に7月下旬~8月中旬に発生する第2世代幼虫の食害が問題になります。この時期に幼虫が1株当たり0.5~3頭いると5%減収するとされています<sup>25)</sup>。被害は、移植時期が遅い場合、飼料イネなど窒素施肥が多い場合で増加するとされています。\\ 
 +{{ :kihon:図6-10.jpg?400 |}} 
  ②遅植えを避ける\\  ②遅植えを避ける\\
- 関東~西日本では、5月中旬以前に移植することで、イネツトムシによる被害を抑えることができます。一方で、移植時期が遅くなると、幼虫の発生量が増加する場合があります。5月中旬以前に移植をした場合、7月の幼虫の発生時期のイネの葉は硬くなっているため、若齢幼虫が葉に食いつきづらくなることや、生育が進んだイネには成虫があまり産卵しないこと等の理由で被害が出ないと推測されています。+ 関東~西日本では、5月中旬以前に移植することで、イネツトムシによる被害を抑えることができます。一方で、移植時期が遅くなると、幼虫の発生量が増加する場合があります。5月中旬以前に移植をした場合、7月の幼虫の発生時期のイネの葉は硬くなっているため、若齢幼虫が葉に食いつきづらくなることや、生育が進んだイネには成虫があまり産卵しないこと等の理由で被害が出ないと推測されています。\\
  ③微生物殺虫剤(BT水和剤)の利用\\  ③微生物殺虫剤(BT水和剤)の利用\\
  JAS有機認証下で利用可能なBT水和剤※(商品名:チューンアップ顆粒水和剤)の散布によってイネツトムシの被害を効果的に抑えることが可能です。希釈倍率は2,000~4,000倍、散布量は60~150L/10aとなっています。防除時期は、化学合成農薬と同様に若齢幼虫発生期ですが、中齢幼虫発生期や、さらに遅い中~老齢幼虫発生期に防除を行っても効果がみられます(図6-11)。ただし、イネツトムシは終齢幼虫になると摂食量が大幅に増加し、被害のリスクが高まることから、中齢幼虫発生期までに防除を行ってください。  JAS有機認証下で利用可能なBT水和剤※(商品名:チューンアップ顆粒水和剤)の散布によってイネツトムシの被害を効果的に抑えることが可能です。希釈倍率は2,000~4,000倍、散布量は60~150L/10aとなっています。防除時期は、化学合成農薬と同様に若齢幼虫発生期ですが、中齢幼虫発生期や、さらに遅い中~老齢幼虫発生期に防除を行っても効果がみられます(図6-11)。ただし、イネツトムシは終齢幼虫になると摂食量が大幅に増加し、被害のリスクが高まることから、中齢幼虫発生期までに防除を行ってください。
 + なお、BT水和剤は、イネアオムシ、コブノメイガにも登録があります。\\
 + ※有機JAS認証圃場でのBT水和剤の利用に際しては、認証機関への確認をお願いします。
 +{{ :kihon:図6-11.jpg?560 |}} 
  
 === 5)コブノメイガ === === 5)コブノメイガ ===
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 23)Takada, T. et al. 2012. Multiple spatial scale factors affecting mired bug abundance and damage level in organic rice paddies. Biological Control 60, 169-174\\ 23)Takada, T. et al. 2012. Multiple spatial scale factors affecting mired bug abundance and damage level in organic rice paddies. Biological Control 60, 169-174\\
 24)芦澤武人 2013. イネ稲こうじ病の発生生態と今後の防除技術の開発に向けて.植物防疫67:133-136\\ 24)芦澤武人 2013. イネ稲こうじ病の発生生態と今後の防除技術の開発に向けて.植物防疫67:133-136\\
 +25)石崎摩美 2019. イチモンジセセリの発生生態と防除.植物防疫73:187-191\\
  
kihon/6.1581665562.txt.gz · 最終更新: 2020/02/14 (Fri) 16:32 by juten