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kihon:3 [2015/03/09 (Mon) 18:18] juten [(3)育苗ポットによる成苗育苗法] |
kihon:3 [2020/04/07 (Tue) 16:13] (現在) juten [(1)種籾の選別と種子消毒(温湯種子消毒)] |
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==== (1)種籾の選別と種子消毒(温湯種子消毒) ==== | ==== (1)種籾の選別と種子消毒(温湯種子消毒) ==== | ||
=== 1)種子の選別 === | === 1)種子の選別 === | ||
- | 有機栽培では化学農薬による防除ができないため、種子伝染性病害に罹病していない種子を用いることが慣行栽培より重要となります。このため、自家採種、購入種子を問わず選種は必ず行います。塩水選による選種を基本とし、塩水の比重はうるちが1.13以上、もちが1.10以上で行います。比重1.13に必要な食塩の量は水10リットルあたり2.1kg、比重1.10に必要な食塩の量は水10リットルあたり1.6kgになります。塩水選を行う手間が無い場合には粒厚選(篩目2.3 mm以上)により選種を行います。 | + | 有機栽培では化学農薬による防除ができないため、種子伝染性病害に罹病していない種子を用いることが慣行栽培より重要となります。このため、自家採種、購入種子を問わず選種は必ず行います。塩水選による選種を基本とし、塩水の比重はうるちが1.13以上、もちが1.10以上で行います。比重1.13に必要な食塩の量は水10リットルあたり2.1kg、比重1.10に必要な食塩の量は水10リットルあたり1.6kgになります。塩水選を行う手間が無い場合には粒厚選(篩目2.3 mm以上を推奨)により選種を行います。 |
=== 2)温湯種子消毒 === | === 2)温湯種子消毒 === | ||
温湯種子消毒は温熱を利用した物理的防除法で、適切に行なえば高い防除効果が得られます。保温機能の付いた温湯種子消毒機が開発されており、60℃10分の温湯浸漬処理を行なうことにより、いもち病、ばか苗病、籾枯細菌病、苗立枯細菌病、イネシンガレセンチュウに有効であることが確認され、全国的に普及しています。その一方、不適切な使用で防除効果不足や発芽不良といった問題点も指摘されています。そのため、導入に際しては、以下の点に注意することが必要です。 | 温湯種子消毒は温熱を利用した物理的防除法で、適切に行なえば高い防除効果が得られます。保温機能の付いた温湯種子消毒機が開発されており、60℃10分の温湯浸漬処理を行なうことにより、いもち病、ばか苗病、籾枯細菌病、苗立枯細菌病、イネシンガレセンチュウに有効であることが確認され、全国的に普及しています。その一方、不適切な使用で防除効果不足や発芽不良といった問題点も指摘されています。そのため、導入に際しては、以下の点に注意することが必要です。 | ||
- | -**温湯種子消毒は湯温60℃、浸漬時間10分で行います。**温湯種子消毒は保温機能のついた専用機を使用します。湯温、時間を厳守してください。湯温や時間を間違うと消毒効果の低下や発芽率の低下につながります。 | + | -__温湯種子消毒は湯温60℃、浸漬時間10分で行います。__温湯種子消毒は保温機能のついた専用機を使用します。湯温、時間を厳守してください。湯温や時間を間違うと消毒効果の低下や発芽率の低下につながります。 |
-処理する種子の籾水分は15%未満の乾籾で行います。 | -処理する種子の籾水分は15%未満の乾籾で行います。 | ||
-塩水選に続いて温湯種子消毒を行う場合には、塩水選後1時間以内に行います。塩水選から時間が経過した後に温湯種子消毒を行う場合には、籾水分を15%未満まで乾燥した後に行います。 | -塩水選に続いて温湯種子消毒を行う場合には、塩水選後1時間以内に行います。塩水選から時間が経過した後に温湯種子消毒を行う場合には、籾水分を15%未満まで乾燥した後に行います。 | ||
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=== 2)播種 === | === 2)播種 === | ||
- | 有機栽培では抑草のため移植直後から深水管理することが必要なため、中苗以上の充実した活着の良い苗が必要とされます。播種量は1箱当たり乾籾70 g以下とします。すじ播きのできる播種機であれば、すじ播きにすることで少ない播種量でも移植時の欠株を少なくすることができます。育苗日数は播種量が減るほど長くなり、30日~40日程度です。10 a当たりに必要な箱数は株間18 cmで移植する場合は30箱前後が必要です。床土と覆土の量は、1箱当たり約3.5~4.0 L準備します。 | + | 有機栽培では抑草のため移植直後から深水管理することが必要なため、中苗以上の充実した活着の良い苗が必要とされます。播種量は1箱当たり乾籾70 g程度(吸水籾で80~100g)とします。すじ播きのできる播種機であれば、すじ播きにすることで少ない播種量でも移植時の欠株を少なくすることができます。育苗日数は播種量が減るほど長くなり、30日~40日程度です。10 a当たりに必要な箱数は株間18 cmで移植する場合は約30箱が必要です。床土と覆土の量は、1箱当たり約3.5~4.0 L準備します。 |
=== 3)育苗管理 === | === 3)育苗管理 === | ||
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=== 4)追肥 === | === 4)追肥 === | ||
- | 中苗以上の苗づくりが必要な有機栽培では、育苗期間中に養分不足による葉色の低下や生育の停滞がおこることがあります。これらの苗には、ぼかし肥料、市販の有機質肥料(有機アグレット666特号など)や有機液肥を追肥すると効果があります。追肥時期は2.5葉期、追肥量は箱当たり窒素成分1~1.5 gを目安とします。ぼかし肥料の肥効は速効性で、有機アグレット666特号の肥効は持続性です。ぼかし肥料や有機質肥料は水に浮きやすいので、プール育苗の場合は追肥ムラを少なくするため、追肥時はプールの水位を下げます。 | + | 中苗以上の苗づくりが必要な有機栽培では、育苗期間中に養分不足による葉色の低下や生育の停滞がおこることがあります。これらの苗には、ぼかし肥料、市販の有機質肥料(有機アグレット666特号など)や有機液肥を追肥すると効果があります。葉色の低下がみられたら、箱当たり窒素成分1~1.5 gを目安に追肥します。ぼかし肥料の肥効は速効性で、有機アグレット666特号の肥効は持続性です。ぼかし肥料や有機質肥料は水に浮きやすいので、プール育苗の場合は追肥ムラを少なくするため、追肥時はプールの水位を下げます。苗が黄色くなってから追肥しても回復は困難なので、早めの追肥を心がけましょう。 |
==== (3)育苗ポットによる成苗育苗法 ==== | ==== (3)育苗ポットによる成苗育苗法 ==== | ||
=== 1)ポット成苗とは === | === 1)ポット成苗とは === | ||
- | ポット成苗とは、専用のポット育苗箱を使って葉齢4.5葉(草丈約20㎝)以上に育苗した苗のことです(図3-6)。1株1株が充実した土付き苗であるため、植え傷みが少なく田植後速やかに活着するのが特徴です。また深水管理でも良好な生育ができる育苗方法です。なお、ポット成苗を移植するためには、専用の田植機が必要です。 | + | ポット成苗とは、専用のポット育苗箱を使って葉齢4.5葉(草丈約20㎝)以上に育苗した苗のことです(図3-6)。1株1株が充実した土付き苗であるため、植え傷みが少なく田植後速やかに活着するのが特徴です。また深水管理でも良好な生育ができる育苗方法です。なお、ポット成苗を移植するためには、[[http:// |
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==== (4)プール育苗 ==== | ==== (4)プール育苗 ==== | ||
水稲有機栽培の育苗では、育苗期間の病害防除、培土の肥効発現、水管理省力化のためプール育苗が適します。プール育苗は、苗床に遮光性のビニールなどで湛水槽を作り、そこに育苗箱を設置して行う育苗方法です。この育苗法により、育苗期に発生するもみ枯細菌病および苗立枯細菌病の発病抑制が可能です。一方で、一旦病害が発生すると、プールの水を介してプール内すべての箱に感染する恐れがあります。このため、種子消毒や育苗温度管理などの病害対策を十分に行う必要があります。\\ | 水稲有機栽培の育苗では、育苗期間の病害防除、培土の肥効発現、水管理省力化のためプール育苗が適します。プール育苗は、苗床に遮光性のビニールなどで湛水槽を作り、そこに育苗箱を設置して行う育苗方法です。この育苗法により、育苗期に発生するもみ枯細菌病および苗立枯細菌病の発病抑制が可能です。一方で、一旦病害が発生すると、プールの水を介してプール内すべての箱に感染する恐れがあります。このため、種子消毒や育苗温度管理などの病害対策を十分に行う必要があります。\\ | ||
- | 発病を抑制するためには、__入水開始時期と常時湛水がポイントです__< | + | 発病を抑制するためには、__入水開始時期と常時湛水がポイントです__< |
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