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埼玉県におけるイネ縞葉枯病発生の背景

埼玉県では、1980年代以降、抵抗性品種の普及とともに縞葉枯病の発生面積は急減したものの、防除体系等の変化も影響して2010年頃より増加に転じ、近年はコシヒカリやキヌヒカリを中心に2,000~4,000haで発生している。現在は積極的に縞葉枯病抵抗性品種の育成・普及をはかっており、「彩のかがやき」および「彩のきずな」の作付面積は県内水稲栽培面積の約40%に達している。

産地の特徴に応じた総合防除の説明

埼玉県では、縞葉枯病抵抗性品種と、コシヒカリなどの感受性品種が混在して作付けられる状況にあり、感受性品種において本病が発生している。また、抵抗性品種・感受性品種双方でヒメトビウンカにより媒介される別のウイルス病である黒すじ萎縮病が発生している。そこで、現在は、抵抗性品種・感受性品種双方で箱施用薬剤と本田での薬剤散布を組み合わせた体系防除指導を行い、これら病害の鎮静化を図っている。

現地実証試験の結果

  1. 感受性品種では適切な箱施薬を実施しても発病株率が20~30%に達する状況下において、「彩のかがやき」等のイネ縞葉枯病抵抗性品種ではほとんど発病は認められなかった(図1)。また、5月中旬植え、6月中旬植えおよび下旬植えの3作型で本田防除を実施せずに栽培を行った場合でも、いずれの作型でも抵抗性品種での発病はきわめて少なく、縞葉枯病に対する安定した抵抗性が示された(図2)。
  2. 作型および地域によっては、抵抗性品種において紋枯病が多発した事例があり、防除が必要な水準に達したほ場もみられた(表)。また、ヒメトビウンカが媒介する黒すじ萎縮病の発生も低率ながら見られた(表)。

図1および2

表


イネ縞葉枯病抵抗性品種はヒメトビウンカの発生量を減らす効果はないため、薬剤防除を行わない場合はヒメトビウンカが多発しやすい。周辺に感受性品種が作付けられている場合や、黒すじ萎縮病の発生が見られる地域では、抵抗性品種栽培においても薬剤を利用したヒメトビウンカの防除が必要であると考えられた。