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福岡県におけるイネ縞葉枯病発生の背景

福岡県では、2008年頃から土着のヒメトビウンカ個体群と海外から飛来した薬剤抵抗性のヒメトビウンカ個体群との混在や交雑により、フィプロニルやイミダクロプリドなど一部の薬剤では防除が難しくなった結果、イネ縞葉枯病が多発するようになった。

産地の特徴に応じた総合防除の説明

福岡県では、ヒメトビウンカだけでなくトビイロウンカやセジロウンカにも対応した薬剤防除が必須である。しかし、トビイロウンカやセジロウンカも一部の薬剤への感受性が低下しており、これら3種を同時に防除できる薬剤は限られている。そこで、現時点でこれら3種のウンカ類を同時防除できるピメトロジンを基幹的防除剤に用いる。また、水稲刈り株のすき込みを徹底し、越冬するヒメトビウンカの密度抑制を図る。

現地実証試験の結果

1)九州地方における基幹的防除剤の選定

福岡県における試験では、ピメトロジン箱粒剤はフィプロニル箱粒剤と比較してヒメトビウンカの個体数を長期にわたって低密度に抑え、縞葉枯病の発病株率も低く抑えた(図1)。また、ピメトロジン剤はトビイロウンカ、セジロウンカに対しても優れた密度抑制効果が認められている。(データ省略)。これらの結果から、福岡県においてはピメトロジン剤を基幹的防除剤に用いることとした。 図1

2)水稲収穫後の刈り株の耕起の効果

水稲収穫後の刈り株を10月に耕起してすき込んだ区では、圃場内、畦畔ともに越冬したヒメトビウンカは確認できなかった。一方、刈り株をすき込まない不耕起区の畦畔部では、越冬したヒメトビウンカが多数捕獲された(表)。このことから、水稲刈り株を耕起することで圃場内のヒメトビウンカの密度が低下し、ひいては、ヒメトビウンカの越冬個体数が減少すると考えられた。
表1

以上の結果から、効果の高い薬剤による化学的防除と水稲刈り株のすき込みによる耕種的防除を組合せた総合的防除法はヒメトビウンカとイネ縞葉枯病の抑制に有効と考えられる。縞葉枯病の多発地域に本法の普及を図った結果、発生面積率や保毒虫率は、被害発生ピーク時の50%以下に低下してきた。(図2)。

図3