スクミリンゴガイは1981年に食用として国内に持ち込まれたのを契機に、九州を中心に水稲を食害する重要害貝として問題化しました。浅水管理技術や専用の農薬の開発などにより一時被害は沈静化しましたが、近年は九州のみならず、関西~関東の太平洋沿岸部でも被害が再び顕在化しています。本貝の防除においては、浅水管理などの耕種的防除、耕うんによる貝の破壊などの物理的防除、農薬を用いた化学的防除などの技術を地域の特徴に応じて適宜組み合わせて実施することが重要です。本マニュアルは、スクミリンゴガイの総合防除体系の中核となる防除技術のポイントと留意事項を紹介するとともに、貝の特徴と見分け方、貝の広域検出・早期検出のための調査方法、防除に関するFAQなど、スクミリンゴガイに関する情報を幅広く解説しています。本防除マニュアルがスクミリンゴガイの防除に携わる方々にとって、総合防除対策を検討・実施する際の有用な情報源となれば幸いです。