=====捕殺:トラップを用いて貝を捕獲し、発生密度を下げる===== ====1 トラップで捕獲する方法==== -ほ場に入水後、活動を開始した貝を誘引剤等を用いて捕獲し、田植え前の貝の発生密度を下げます。 -湛水状態であれば捕獲可能なため、田植え後も農作業の都合に合わせて実施できます。 -トラップは、市販のトラップや籠網のほか、ペットボトル・育苗箱等で自作するなど、入手・扱いの容易なものを選択します。 -トラップ内の貝を定期的に除去し、誘引剤等の補充・交換を行います。 -ほ場内の取水口付近など、水深の深い場所を中心に複数個設置します。 -水深が浅い場合は、トラップ周辺を少し掘り下げ、トラップの捕獲用の穴が水中に位置するように調整します。   {{スクミッチ使用例.jpg?nolink&300|}}\\   {{スクミッチ.png?nolink&300|}}\\  市販トラップ((大栄工業株式会社、商品名:スクミッチ、https://a-defence.stores.jp))を用いた捕獲例   {{かご網の例.png?nolink&300|}}\\    市販の籠網を用いた捕獲例\\     (注意) -トラップだけではすべての貝を駆除するまでの効果は期待できません。貝の発生状況に応じて他の防除対策と併用します。 ====2 効率のよい誘引剤の紹介==== -沈下性コイの餌、米ぬか、米こうじを同じ重量で混合したミックス餌を用いると、貝を効率よく捕獲できます((吉田和弘ら(2021) 関西病虫害研究会報 63:151-154.))。 -ミックス餌の交換の目安は1週間です。 -水切りネットなどに入れて貝による被食から保護します。 -米こうじは高温に弱いため冷暗所に保管します。 -混合したミックス餌は速やかに用いてください。 -貝の発生量の多い水田でミックス餌を用いると、小型のトラップではすぐに一杯になってしまうため、大型のトラップを用います。 {{ミックス餌1.jpg?nolink&200|}} {{ミックス餌2.jpg?nolink&200|}} {{ミックス餌3.jpg?nolink&200|}} {{ミックス餌4.jpg?nolink&200|}} ====3 野菜で誘引する方法==== -稲苗よりメロン、レタス、スイカやナスなどの野菜((福島裕助ら(1998) 福岡県農業総合試験場研究報告 17: 32–35.))などに対して高い選好性を示すことから、野菜トラップを設置して集まった貝を捕殺する方法も有効です。 ====4 留意事項 ==== ===貝の処分=== -捕獲した貝は、踏み潰して殺すか、焼却または埋却してください。 -可燃ごみとして処分する際はビニール袋で二重に梱包するなどの処置をしてください。 -土中に埋める場合は、適正な場所を選び、十分な深さをとってください。 ===手袋の着用=== -スクミリンゴガイには人体に有害な寄生虫(広東住血線虫)がいる場合があります((Nishimura K et al. (1986) The Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health 17: 595-600.))ので、ゴム手袋、ゴミ拾い用トングなどを使用し、素手では扱わないようにしてください。もし、素手で触った場合には石けんで手をよく洗ってください。 [[:start|目次に戻る]]